82年生まれ、キム・ジヨン

自己研鑽

こんにちは、めもりです!

今回は書籍『82年生まれ、キム・ジヨン』をレビューしました。

この本は韓国で発売以降、社会現象を巻き起こしたミリオンセラー小説です。書店で見かけたことがある人も多いと思います。

ざっくりとしたあらすじや、この本を読んで考えたことを書いたので、購入を迷っている人や本の内容を知りたい人の参考になると思います。



あらすじ

概要

この書籍はキム・ジヨンという1人の女性の半生をを綴ったフェミニズム小説です。

フェミニズムとは
男女間の差別をなくすために女性の権利を主張すること

映画化もされているのでそちらを見たという人もいるでしょう。

彼女が生まれてから受けてきた女性差別を生々しく描写しています。心にグサグサくるような重い内容もありますが、こういった本を読んで「差別」に目を向ける人が増えることが平等な社会への第一歩だと思います。

個人的には女性よりも男性に読んでもらいたい一冊です。なぜなら女性差別を自分事として考える機会が少ないからです。

今でこそ、このような本やミートゥー運動によって女性の権利が主張される機会が増えてきましたが、まだまだ浸透はしていないと感じます。ですので興味を持った方はぜひ手に取ってほしと思います。

この物語は以下のような流れで進んでいきます。

始まり

2015年秋、33歳のキム・ジヨンが突然不可解な行動をとり始める。夫のチョン・デヒョンは最初は気に留めてなかったが一向に回復の気配はなく、むしろ悪化していく。

そこで2人は病院を訪れ診断を受けた。どうやら不可解な行動の謎を解くカギは彼女のこれまでの人生に隠されているようだ。

ちなみにこの小説はキム・ジヨンの治療を担当した主治医目線で綴られている。

回想

キム・ジヨンが生まれてから結婚して子供育てを行うまでの1982年〜2015年が回想されている。この回想が本書のメインとなる。

その中で彼女は女性であるが故に多くの差別を受けることになる。ここではその一例を挙げる。

  • 男の子が産まれると喜ばれるが女の子は喜ばれない
  • 出席番号は男子から
  • 就職差別
  • 妊娠した際にひどい言葉を浴びせられる
  • 女性は子育てするのが当たり前

他にも様々な差別を経験する。その時々で深い傷を負いながらも彼女は懸命に乗り越えていく。

その過程での彼女の考えや心情が鮮明に描かれており「社会はどうあるべきなのか」「私たちはどのように行動すれば良いのか」を常に考えさせられる。

そして2016年、治療を受けながら少しずつ症状が回復しているというところで物語は終わる。



書籍を読み終えて

ここからは私がこの書籍を読み終えて感じたことや考えたことを書きました。

日本の現状

日本でも女性に対する差別や偏見は見られます。簡単に私が思いついた例を挙げます。

  • 結婚すれば男性の苗字になるのが当たり前
  • 子育ては女性がするものであるという風潮
  • 家事は女性がするものであるという風潮
  • 大学受験で女性を一律減点

結婚すれば男性の苗字になると思い込んでいる人は多いのではないでしょうか。以前は私もそれが当たり前だと思っていました。こういった無意識の思い込みが不公平感や差別につながっていくのだと感じます。

また東京医科大の不正入試問題は記憶に新しいでしょう。今回はたまたま東京医科大の不正が明るみに出ましたが、これらは氷山の一角であると思います。

平等について考える

小さい時から「人は皆平等だ」と教育を受けてきましたが、では一体平等とはなんなのでしょうか。

そこでまず、なぜ差別が起こるのかを考えてみましょう。

なぜ差別が起こるのか

差別は一種の防衛本能であると考えています。

人間は昔、似たもの同士のコミュニティで集団生活をしていました。その中で自分たちの集団とは異なった者は敵とみなすという本能が今も残っているのではないかと思います。見た目や言葉、考え方が異なる人には反射的に距離をとってしまうといった具合です。

ただ私たちには理性があります。反射的な行動を抑えて、頭で考え行動できます。つまり各々が感情に流されず自分の頭で考えて行動できれば差別はなくすことは可能だと思います。

差別のきっかけ

差別は「分類や一般化」をきっかけに始まるのだと思います。

例えば以下のようなものです。

  • あの人は女性だから〜
  • 中国人は〜
  • 男子校市出身の人は〜
  • 高卒は~

これらは出身や性別によって「分類」し、物事を「一般化」して考えています。もちろん物事を理解するために分類や一般化は重要ではありますが、これらは慎重に行う必要があります。

先日オリンピック組織委員会の森会長が「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」といった発言をして辞任に追い込まれましたが、これも「分類と一般化」の典型的な例であると思います。

ポジティブな内容、例えば「関西人は面白い」といったことはそこまで気にする必要はないかもしれません。ただネガディブな内容を一般化するときは「本当にそうだろうか」と自問する必要があります。

平等とは

では平等について考えてみましょう。

まず前提として、人によって差があることは事実です。差という表現が適切なのかはわかりませんが、スポーツが得意な人がいれば苦手な人もいて健常者もいれば障がい者もいます。

そこでふと思います。「何が平等で何が不平等なのだろうか?」と。簡単な例を挙げると税金です。

現在の日本の制度では、たくさんお金を稼いだ人からたくさんの税金を納めてもらう仕組みになっています。果たしてこれは平等といえるのでしょうか?全国民が一律に税金を納めるのが平等なのではないでしょうか?

こういった問いの”答え”は永遠に出ることはないでしょう。ですが、だからといって何も考えなくていいというわけでもないと思います。

今回は税金の例を挙げましたがこういった疑問はいたるところに存在します。そういった意味で平等とは幻想なのかもしれません。

しかしこの幻想は相手を尊重することで実現できると考えています。

先ほどの例でいくと、お金を稼いだ人は「他の人のためにたくさんの税金を納めよう」という考えをもつということです。

ある側面から見れば平等だが見方を変えれば不平等といった問題は数多く存在します。そのズレを”尊重すること”で補っていくことで本当の意味での平等が実現できるのではないかと思います。

最後に

今回紹介した本は、私たちに様々なことを考えさせてくれます。

こういった本を読んで深く考えることで、ふとした時に思いやりのある行動ができれば社会はより良くなっていくと思います。

正直自分自身も無意識のうちに差別的な発言をしたり、そういった考え方をすることもあると思います。ですので今後、当たり前だと思っていることにも疑問を持ち自分の頭で考える習慣を身につけていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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